建物劣化診断の調査・試験
建物の健全度を診断する方法はいくつかあります。定期的な点検と合わせて、これらの調査を行うことで、経年変化をデータとして蓄積し、修繕計画を策定する材料となります。
コンクリートの劣化度合いを調べる方法です。躯体コンクリートは、通常アルカリ性で、内部の鉄筋の酸化を抑えることで強度を維持しています。しかし、外壁の劣化や経年によって大気中の炭酸ガスと反応し、徐々に中性化が進行していきます。中性化が鉄筋まで及ぶと、アルカリの防錆機能を失った鉄筋が腐食し、構造の強度が著しく低下してしまいます。
【調査方法】躯体コンクリートの一部をコアドリルで抜き出し、フェノールフタレイン試薬を塗布します。コンクリートは、通常アルカリ性なので紫色に変化しますが、中性化した部分は色が変わりません。この中性化した部分の深さを測定します。
コンクリートそのものの強度を調べます。コンクリートも他の材料と同じく、経年により劣化します。その耐用年数は30年とも50年とも言われていますが、建物の設計や周囲の環境、また施工の良し悪しによって違いには言えません。
【調査方法】コアドリルで抜き出した躯体コンクリートの一部(コア=試験体)を圧縮試験機にかけ、圧縮強度を測定します。
タイルや塗膜が建物本体に、しっかりと食いついているかを調査します。
すでに浮いているタイルや塗膜は「外壁の打診調査」で発見できますが、まだ浮いていない部分の接着力を調査することで、全体的な劣化の進行状況を確認することができます。
【調査方法】1面につき、数カ所で試験を行い、劣化状況調べます。・試験部分の破断箇所・測定した付着力(N/mm2)で劣化具合を判断します。
外壁のシーリング材の劣化具合を調べます。
建物の変形によるひび割れの防止のため、外壁には一定の間隔で隙間(誘発目地)が設けられています。こういった目地やサッシの隙間などからの雨水の侵入を防ぎ、揺れや振動を吸収する目的で、あらゆる隙間にはシーリング(補填剤)が埋め込まれています。
【調査方法】切り取ったシーリングのサンプルを引張試験機にかけ、伸び率などを検査します(シーリングダンベル検査)。
紫外線の影響受けるシーリングは、建物の面によって劣化具合が違ってくるので、各面に付き、数カ所ずつ検査します。
建物診断後に外壁落下事故が起こった際の損害補償により被る損害を補償いたします。